地域活性化分科会

■地域活性化分科会


 少子高齢化をはじめ情報化・国際化・広域化が進むにつれ、従来の地域という国を支える単位までもがその特性を失い、また首都圏にヒトやモノ、情報が集中することにより地域の経済活動やコミュニティ、さらには文化や営みまでもが疲弊するに至ったと言えます。今や地域活性化は国や自治体の最重要課題であり、地域の自主的・自立的な地域再生を支援しています。しかし地域もまた人口減少、高齢化、産業衰退という近代産業遺産を生み出したと同じ課題を持っており、地域そのものが保存・再生の対象にあると言えます。ただ、この地域活性化もまた既成の理論や方法論が取られた場合、そこには地域のアイデンティティが失われ、どことも同じような地域活性化になるでしょう。当分科会は文化・社会の持続的発展を見据えた有形・無形を問わずコンテンツの育成や流通・活用に着目し、独自の解決策を地域住民と共に模索しながら産官学民連携で取り組むものです。



■芸術百貨店アート再生事業

■事業概要/芸術百貨店とは何か…

近代産業遺産が、いま全国で関心を高めつつあり、歴史観光都市である京都・奈良においてもその存在は見て取れます。しかし近代以降の産業施設(工場、店舗、倉庫、駅舎、廃校、廃ホテル・旅館、変電所、交通施設など)は未だ埋もれた資源であり、文化財保存等の歴史資源とは異なり、破壊されたり、放置されて風化・荒廃の一途をたどっている施設も少なくありません。これらは古都の生きた姿を違った意味で今に伝える貴重な場であり、その発掘と活用は、新たな観光資源、文化的な集客交流の場として、地域に活路を拓く可能性を秘めています。
現在、国民の余暇活動や観光ニーズはますます多様化し、「地域の伝統や産業を体験したい」「もっとアートに触れたい」と言った欲求の高まりも見られます。この傾向は、好奇心と行動力の旺盛な団塊の世代のリタイア(2007年からの団塊世代の大量退社)により一層高まると予想されます。
このように近代産業遺産、団塊の世代は、いま共にリタイアメント期を迎えており、そこにはかつて日本の経済成長や日本のものづくりの誇りを支えてきた様々な技術や知恵、空間、マンパワーが賦存しており、現役時代とは一味違う活路を見出したいというニーズの高まりがみられます。京都・奈良は、埋もれた近代産業遺産が豊富に分布すると共に、関西のベッドタウンとして多くの団塊世代を抱えるだけに、それらリタイアメント同士を結びつけ、アートの介在により魅力的な集客交流スポットにて売り出すビジネスモデルとしての取り組みを考えるものです。
この事業プロジェクトを「京都・奈良リニューアルステージ=余暇活用空間《芸術百貨店》」と呼称し、広く産業遺産や伝統技術の多様化に着目すると共に、個々の魅力を引き出しながら多彩な集客スポットとして仕立て、さらに周辺の観光資源と結びつけて売り出すことで、地域全体の個性化・魅力化、集客力の拡大に貢献すると期待できます。
  つまり「芸術百貨店」とは、近代産業遺産を基軸に魅力的で多様な集客交流スポットが展開され、これらが相互に連携・共同しながら地域に根付いていくイメージ及び、これを支えるトータル・メカニズムを意味するものです。




■事業の目的/事業の最終的な目標

  地域の中に埋もれている近代産業遺産に光を当て、アートの投入により新たなテーマを設け、集客交流スポットに仕立てます。その際、地域人材(特にリタイアメント)を担い手(ガイド、技術者、サービス提供者)とするなど、施設ごとに地域に根ざした運営体制を確立するものです。
同時に、これを含む地域全体を眺めてテーマエリアを設定すると共に、観光客受入機能(交通・宿泊・買い物など)とのタイアップにより、着地型のテーマ・ツーリズムを成立させます。
以上を総合的にプロデュースする仕組みとして「芸術百貨店」というシステムを構築し、近代産業遺産及びこれを含む地域を売る仕組みをつくります。近代産業遺産とリタイアメントの活用は、我が国全体の課題であるだけに、近代産業遺産の再生プロジェクトを成功に導くことで、一つのムーブメントに広げれることが出来ればと考えるものです。

◎根本にあるのは・・・産業観光+芸術的ソフト表現
 産業観光とは、歴史的・文化的価値のある産業文化財(古い機械器具、工場遺産などいわゆる産業遺産)、それに加えて一般的な生産現場(工場、工房等)及びその地域にある生活関連施設(駅舎や学校等)、構造物(橋やトンネル等)、遊休田畑や風景、産業製品を観光資源とし、それらを通じてものづくりの心にふれると共に、集客交流となる観光づくりと言えます。
そこにあっては、社会の成熟化、近代化に対する反省と懐古を捉え、最近のビール工場や陶芸工房など「観光集客を意図した工場」を対象とする立ち寄り周遊観光が持て囃されています。そのことを踏まえ、当事業では近代産業遺産を核(コア)とした地域の周遊観光の拠点づくりに「芸術百貨店」を用いて、形を持たない技術・技能をはじめ、景観、デザイン・意匠等のソフト資源を表現する方法として、またハード資源の現状維持を基本に効果的な集客交流の場づくりにするために、アート(芸術)が持つ表現と創造の視点から再生、及び事業化、商品化を図ることが当事業の目的とされます。
また、事業を進めるにあたっては、地域の人々や商・産業に関わる企業・団体の協力が必要であり、とりわけ即戦力としての様々なスキムを持つリタイア後の人材(団塊世代以上の人々)とその技能を用いて、現状活動停止中にある産業遺産での観光拠点づくり、またそれを核とした地域の周遊観光の商品化が、旅行エージェントや交通・宿泊関連会社とのプロモーション活動により、想定されるターゲット【一般観光客(個人・団体)、体験学習の学生、外国人観光客、視察旅行のビジネス客、地域住民】を集客するものです。




■「芸術百貨店」展開チャート





■本委託事業(平成19年2月末迄)の具体的展開

現在、当コンソーシアムの活動は、経済産業省の「平成18年度サービス産業創出支援事業(観光・集客交流サービス分野)」の「調査事業」を受け、近代産業遺産を活用した「集客交流スポットの形成」及び、これを核とした「テーマ・ツーリズムの成立」の可能性を検証する段階にあります。また、これを通じて集客ビジネスモデル構築という視点から、「芸術百貨店のシステム構築」のあり方を立案し、その具体化を進める時期とされます。
「集客交流スポットの形成」「テーマ・ツーリズムの成立」については、「近代産業遺産を核とする集客の仕組みづくり」として一体的な検討を実施します。具体的には、既に自主事業として発掘・活用に着手している近代産業遺産(京都市東山区の「登り窯」)を核とするケーススタディを通じて、具体的な集客の仕組みを検証し、本年度より本格的な集客交流スポットの形成と、これを含む「アートツーリズム商品」の成立が実現することを目標に定めています。
 「芸術百貨店のシステム構築」については、より広い検討課題を含むことから、研究会を設置してコンソーシアムメンバーの情報やノウハウを投入し、集客ビジネス構築に必要な要件を整理し、これを通じて、今後の研究計画の成立を目指すことにあります。



@近代産業遺産の集客資源化調査
※京都市東山の「登り窯」を例に取り、近代産業遺産の活用可能性評価のあり方を検討します。
○資源評価 ○立地分析 ○マーケティング調査 など

A近代産業遺産を核とする集客モデルの検討
※「登り窯」を活用した自主事業の検証を中心に、集客ビジネスの成立条件を整理する。
○集客交流スポットの成立要件の検証
○集客ビジネスの基盤づくりのあり方検討
○近代産業遺産を核とするテーマ・エリアの形成可能性検討

B「芸術百貨店」の仕組み検討
@Aの検討をベースに、近代産業遺産を新たな集客装置として地域の中にビルトインしていくための「総合プロデュース・システム」としての「芸術百貨店」の経営モデル(コンセプトの確立、経営組織づくりや経済システムのパッケージ化等)の在り方を整理します。